しーまブログ 学術・研究瀬戸内町 ブログがホームページに!しーま新機能のお知らせ! さばくる~イベント情報受付中!~

2013年10月30日

海浜に生息するハマコオロギの分布調査

ハマコオロギは
森や畑にいるコオロギではなく、砂浜で暮らしています。

形はコオロギによく似ていて、
波打ち際から砂丘中央でみることができます。

このハマコオロギですが、
これまで国内では奄美大島の中東部の海岸の報告しかありませんでした。

それ以外の報告は、現在でもなく、
環境省のレッドデータブックで情報不明種の扱いになっていて、
生態や分布は殆んどわかっていません。

海浜性の普段目につかない昆虫類は、
砂浜の生態系を作っていくうえで分解者など重要な役割を持ってます。

しかし、こういった砂浜の生物は、
さまざまな人為的な影響で
減少してもわからないことが多いのが現状です。

そこで本事業内で、
本種を対象にして調査を行っています。


今回は瀬戸内町の加計呂麻島で
ハマコオロギの調査を行いました。

調査日 2013年9月13日

写真は、発見できた15mmサイズのハマコオロギ



他の地区の調査でも
与路島や請島などかなり広範囲で確認され始めました。

これからさらに調査地区を増やして
把握していきたいと思います。

他にも「ここで見つけた!」、「海岸の波打ち際で見た!」
といった情報がありましたらぜひご連絡ください。

サイズとしては2㎜~15㎜ぐらいです。

ブログ読者様からの情報をお待ちしております!


 
報告 : 奄美.asia 調査員 / 朝 修一


  


Posted by 水野康次郎 at 09:31Comments(0)奄美の昆虫

2013年10月25日

嘉徳 シマ(集落)めぐり

奄美大島本島にある瀬戸内町の集落を一つひとつめぐり、
集落空間がどう作られているのか
また集落の地名や山・川・泉などの方言名、
昔話などを聞き取り調査をすすめています。


9月26日(木)に
嘉徳(かとく)集落にうかがいました。




嘉徳は、島での呼び名・方言名は「カドホ」。

瀬戸内町の山郷(やまぐん)と呼ばれる
山深いエリアにある集落。
 
奄美市名瀬から国道58号線を南下し、
瀬戸内町の古仁屋へ向かう網野子峠の途中から町道へ下り、
さらに5キロほど行った先にあります。

背後には、豊かな山々と、
そこから湧き出る清流・嘉徳川。

また護岸がなく、
アダンが並ぶ昔ながらの海岸は、波もよくサーファーにも人気。

豊かな自然と、
どこか神秘的な雰囲気に魅せられる人も多い集落です。






嘉徳には、シマ唄の『嘉徳なべ加那節』に歌われ、
実在したと言われる人物「なべ加那」の墓が、
海岸近くの墓地にあります。


なべ加那は、高貴な女性とも、親不孝者とも諸説あり
その実像ははっきりしませんが、
抑揚の激しい難曲ながら、、
美しいメロディで多くの人々から愛されている1曲です。



また、現在、藍染め工房のある付近は、
縄文後期時代の遺物が昭和48年に発見された「嘉徳遺跡」もあります。




嘉徳区長の徳田博也さん(昭和25年生まれ))に
案内をしていただきました。



嘉徳集落は、
世帯数15世帯、人口26名(平成25年9月末現在)。

人口がかなり少なくなったため、
豊年祭・敬老会などの行事も現在では行われておらず、
昔話をできる高齢者も非常に少なくなっています。

今回は、昭和3年生まれの、
T・Hさん(女性)に聞き取り調査。

・ 昔の暮らしの様子
・ 集落内の川や橋などの方言での呼び名
・ 炭焼き小屋や、マシュ炊き(塩炊き)小屋について
・ ソテツ味噌作り、下駄づくり、わらじづくり
・ 昔の生活道具の使い方、作っていた人、 
・ 漁業、林業の様子

などなどを教えていただきました。




ここは、昔の海岸へ行く道。



海岸の左側にある山は、「カミヤマ」、
その下あたりは「オホチ」と呼ばれ、集落にとって神聖な場所となっています。

また山の上から見張って合図をし、追い込み漁もしていました。
特に嘉徳のウルメは珍しくて有名だったそう。
※ウルメとは、赤ウルメ(タカサゴ)、青ウルメ(ムロアジ)




また海岸そばにも、もう1ヶ所「カミヤマ」と呼ばれる場所があり、
こちらも神聖な場所として、
区長さんは立ち入らないそうです。



バス停がある付近には、
昔、ミャー(広場)があり、
ここに浜から砂を持ってきて土俵を作って豊年祭をやっていました。




平成16年度(2004年度)に休校となった嘉徳小学校。

現在は、画家の堀 晃さん(ほり・ひかる)さんが
創作空間「ムンユスィ館」として
アトリエ&ギャラリーとして利用しています。

校庭には立派なアカギの木が、見事な木陰を作っています。
ここでお弁当を広げるのは最高ですね。




また校庭の片隅には、炭焼小屋が。

かつて嘉徳では、生業として炭焼きが盛んに行われており、
古仁屋の森林組合や、喜界島にも販売されていたとか。



学校裏に流れる川は「ウッコンコ」と呼ばれ、
その上流の田喜(たき)では、集落の人々が飲み水を汲んでいました。

川の下流は、洗濯場として利用。





田んぼ跡。集落には、田んぼも数多くありました。




徳田区長が所有していた、
昔の嘉徳集落の写真。


年代が分からないそうですが、嘉徳小学校が鉄筋校舎。
落成記念に撮ったものでしょうか。
茅葺きとトタンの屋根が混在しています。
もしこの写真の年代をご存知のかた、教えてください。


* *


集落入口近くの携帯電話の電波塔のあたりには、
昔、製材所とサタゴヤ(製糖小屋)があったそうです。


ユニークだったのは、集落入口から3つある橋の呼び名。

国道58号線に一番近い、川内橋が「フウゴッチ」


その次の、嘉徳橋が「ワタッチ」


リュウキュウアユもまだいるのでしょうか? 
昔はよくハアガン・ウレガンと呼ばれる蟹を取りに来ていたと、
徳田区長さん。



藍染めのよしかわ工房前にある金久橋が「ソーメンティミ」。


素麺と、ティミは爪?のことでしょうか?


それぞれの名前の由来ははっきりしませんでしたが、
集落ならではの呼び方があるのは、財産ですね。


また嘉徳集落内は24もの小字があり、
シマでよく聞く小字の金久(かねく)、中里(なかざと)だけでなく、
前辺蛇(まえへじゃ)、大辺蛇(おおへじゃ)などから、
嘉徳の隣、住用村にある青久(あおく)と同じ名前の小字・青久、
節子道(せっこどう)もあります。

興味深いですね。




このように、3月まで
奄美大島本島にある瀬戸内町の集落をめぐり、
集落にまつわるさまざまなことを聞き取り調査していきます。

その活動の様子を
こちらのブログで報告していきます。

みなさんのシマ情報もお待ちしておりますので、
今後ともよろしくお願いいたします。




調査日 : 2013年9月26日(木) 晴れ
調査場所 : 奄美大島 瀬戸内町 嘉徳集落 ( 鹿児島県大島郡瀬戸内町嘉徳 )


奄美.asia  調査員 / Y・K


  


Posted by 水野康次郎 at 13:12Comments(0)瀬戸内町の集落

2013年10月17日

奄美群島ウミガメ会議 2013

ウミガメ好きのみなさん、ウミガメに興味のあるかた
ぜひ起こしください!

奄美群島全体では、
初開催となるウミガメ会議です。

当奄美.asia 代表の水野も調査報告いたします!

10月20日(日) 

「 奄美群島ウミガメ会議 2013 」




日時 : 午後3時~午後6時

場所 : 奄美博物館 3階展示館室 (奄美市名瀬)

入場無料、申し込み不要



【 第1部 】

基調講演 『 奄美・琉球のウミガメを考える 』

亀崎 直樹 氏 (NPO法人日本ウミガメ協議会会長)


【 第2部 】

● 各島ウミガメ調査報告 (詳細はこちらをご覧ください→奄美海洋生物研究会ブログ
 
◎奄美大島報告 「シシと雑種とスモモロード」  
 
  興克樹 氏 ・ 水野康次郎 (奄美海洋生物研究会)

◎ほか、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島、沖縄より報告あり


● パネルディスカッション「奄美群島におけるウミガメの保全と活用」


■ 奄美海洋生物研究会  http://amosg.exblog.jp



お気軽にお越しください!!
 

  
タグ :調査・研究


Posted by 水野康次郎 at 16:20Comments(0)お知らせ

2013年10月17日

「奄美.asia」ブログ開設!

こんにちは!

奄美.asia (アマミドットアジア)代表の水野です。

奄美.asiaは2011年に立ち上げましたが、
これまで、ほそぼそと調査事業をしていました。

しかし2013年の8月より、
緊急雇用対策で「海洋生物と文化財調査整理事業」を始めることができました!



▲ブログタイトルの写真は、瀬戸内町 嘉徳(かとく)集落です



今回の調査では、

・ 海に関係する生物調査
・ 指定されている文化財の整理
・ 人々の暮らしや活動などの文化調査

などを行っています。



▲与路島(よろじま)にて



ここでは、その事業で行っている調査の様子や結果などを
メンバー3名で
簡単ですが紹介していきたいと思います。

今回の調査の対象地域は
主に、瀬戸内町内です。

もし記載していることに
追加情報やこういったものがあるよなど、
面白い情報がありましたら教えていただければ幸いです。

こういった調査をしていくことで、
少しでも島の情報を残せていければと思います。

今後ともよろしくお願いいたします。



お問い合わせ先 : info#amami.asia

#を@に代えてください。迷惑メール対策です。


奄美.asia  代表 / 水野康次郎




▲夕方の与路集落

  


Posted by 水野康次郎 at 11:41Comments(0)はじめに